ここでは、一般的な法人設立の方法をご紹介します。
会社の商号とは会社の名前のことです。会社の商号は会社の顔でもあり、これから会社を運営していく上でも非常に重要な部分でもあります。
会社の商号は1度決めてしまうと、変更するには、定款の変更、登記の内容の変更および各官庁へ変更の届出などの手続きが必要になりますので慎重に決めましょう。
なお、会社の商号は原則として自由に決めることができますが、「会社の商号の中に株式会社の文字を使用しなければならない」など、いくつかのルールがあります。
会社が営む仕事の内容のことを会社の目的といいます。
会社は定款で決めた事業目的の範囲内でしか営業活動を行なうことができませんので、将来行なう可能性がある事業の内容は設立の時点で盛り込んでおきましょう。
会社の目的は1度決めてしまうと、変更するには、定款の変更、登記の内容の変更などの手続きが必要になります。慎重に決めましょう。
会社は本店の所在地(住所)を決めなければなりません。
設立の登記を申請する際には、本店の所在地は具体的な場所を記載しなければなりませんが、現時点では類似商号の調査を行う法務局(登記所)が特定できればかまわないので、最小行政区画である市町村(東京23区や政令指定都市の場合は区)まで決めておけばいいでしょう。
事業の内容によっては、役所の許可や役所への届出が必要なものがあるので、設立後そのような許可や届け出が必要であるかないかを役所に確認をします。
会社設立にはたくさんの書類が必要となるうえ、それらの書類にも押印が必要ですので商号、代表取締役が決定したら早めに会社印を作ります。
会社印には、契約書など、重要な書類に使用する会社の実印として「代表取締役印」、口座を開設する為の「銀行印」、請求書や領収書に使用する「社印(角印)」を用意します。
印鑑証明書は、次の手続きの流れである定款の認証をするために必要になります。
株式会社の出資者である発起人の分の印鑑証明書と株式会社の代表取締役の印鑑証明書が必要になります。 通常の会社設立の手続きでは、出資者と代表者を同じ人が兼ねているケースがほとんどだと思います。その場合には印鑑証明書を2通分取得しておけばいいでしょう。
定款とは、会社の経営全般に関する基本事項を定めたもので、「会社の憲法」「会社のルールブック」ともいえる全ての会社に作成が義務付けられている重要な書類です。定款は発起人全員で作成し、全員が署名押印する必要があります。作成した定款は公証人役場で認証を受けることで初めて法的な効力を持つことになり、1度認証を受けてしまうと原則として訂正がききませんので、定款の作成は慎重に行いましょう。
定款に記載する内容には以下の3つの事項があります。
定款の書式は、A4版縦サイズで作成するのが一般的です。
定款は同じ物を3部用意します(電子定款の場合は、1部で構いません)。
1部は原始定款(会社設立時の定款)として公証人の認証を受ける為、1部は設立登記申請時に登記所に提出、1部は会社保管用になります。発起人全員の記名・押印が必要です。
定款の作成が終わったら公証人役場で定款の認証をしてもらうことになります。なお定款の認証は、どの公証人役場でもいいというわけではなく、設立登記を申請する法務局(登記所)に所属する公証人役場に行くことになります。
原則として発起人全員が出向いて認証の手続きを行ないますが、発起人が複数いて全員揃わない時は欠席者の委任状が必要です。
定款認証が完了したら、出資金を、金融機関(発起人の口座)に払い込みます。そして払い込んだことを証明するために、その通帳のコピーをとります。金融機関とは、銀行、信用金庫、信用組合で、郵便局への払い込みは認められておりませんので、ご注意ください。
登記申請をするために必要な書類の一例
定款により選任された取締役及び監査役が、その就任を承諾したことを証明する書面です。
定款の中で会社の本店の住所を最小区画である市町村までしか記載していない場合には具体的な住所を発起人が決めることになります。発起人決定書には出席した発起人全員の印鑑を押印しましょう。
会社に出資した金額が資本金として計上したことを証明する書類になります。
取締役が複数いる場合で、代表取締役を決める場合に必要になる書類です。代表取締役に選任された者は必ず実印で押印しましょう。
登記の申請書は様式が定められており、様式が合っていなかったり、記載事項に誤りがあると補正の対象になり、何度も法務局に行かなければならなくなる場合もあり、最悪の場合は設立登記の申請のやり直しになってしまうこともありますので注意しましょう。
会社設立の登記の手続きでは代表者印の届け出も行ないます。代表者印の届け出は登記の申請が代表者本人からであることの確認のほか、会社の実印の登録という重要な意味を持っています。法務局は、ここで登録した印鑑に基づいて印鑑証明書を発行することになり、その印鑑は会社の実印として使用していくことになります。
印鑑の届出は所定の印鑑届出書に会社の実印と代表者個人の実印を押し、個人の印鑑証明(有効期限3ヶ月)を添付しなければなりません。なお、設立登記の申請書に印鑑証明書を添付するため、印鑑届出書に「印鑑証明書は申請書に添付したものを援用する」と記載すれば別途印鑑証明書の添付は不要になります。
※会社設立に必要な書類は、いずれの書類にも日付の記載が必要で、個々の書類の日付の前後に矛盾があると登記の申請ができなくなる事もありますので注意してください。
必要書類が全て揃ったら最終段階として、登記所で登記申請を行います。
代表取締役が本店の所在地を管轄する法務局に直接提出するか、郵送します。
提出書類に不備がなければ、会社設立の登記は完了します。
無事に設立の登記が完了したら、会社の誕生です。
金融機関に預けてある出資金を口座から出金するためには会社の謄本が必要になりますし、諸官庁への手続きなどでも会社の謄本は必要になりますので、会社の謄本と印鑑証明書を多めに取得しておきましょう。会社の謄本の交付の方法は、法務局(登記所)にある所定の申請書に必要事項を記載して提出します。